
オーストラリア パース
1997年1月1日~8日
今回は奥さんとオーストラリア
田舎にある零細企業なので年末は30日まで忙しいが年始は8日からとなる。この長い休みに奥さんとオーストラリアに行こう、ということになり計画を立てる。タスマニア島もいいし、ダーウィンにも行きたい。ガイドブックを見ているとシドニー・パース間を大陸横断列車(インディアン・パシフィック号)が走っている。週2便で木、日シドニー発だ。元旦に出発すると丁度いい。早速日本旅行に連絡を取る。7日に帰国だとパースも1泊になってしまう。シドニー、パース共に1泊では面白くもなんとも無いのでパースは2泊にしてもらう。簡単に1日延ばせるのは零細企業のいいところだ。パース・成田間の直行便はカンタスしかないので飛行機はカンタスに決定。このように2人だけのツアーを組んでもらった。ピナクルス観光も含めて¥438,000/人。
1月1日
11:00成田発カンタスQF22便。日程を決めてからしばらくたってカンタスは全席禁煙ということが分かった。あわててJALへの変更を申し入れるが満席とのこと。ヘビースモーカーではないが、まったく吸えないということはかなりのプレッシャーだ。でも発狂することなく9時間半後にシドニーに到着。
1月2日
シドニーのホテルはシェラトン・オン・ザ・ガーデン。朝食にはお粥、味噌汁、梅干、沢庵まである。正月の海外旅行先はハワイ、アメリカ西海岸、ヨーロッパがベストスリーと聞いていたが、オーストラリアにもかなりの日本人が来ている。
ガイドがホテルに迎えに来るのは13:30。それまで近所を歩く。シドニータワーに上がりそのあと帽子、スニーカーを購入。帽子はやはりカーボーイハット、色は紫。スニーカーは今はやりのナイキエアー。カンタベリーショップにも行くが目当てのワラビーズジャンパーは無くジャージのみ。スポーツショップではリーグラグビー物がはばを効かせワラビーズ物はやはりジャージが少々。帽子は順調に増えていくがラグビージャンパーはなかなかたまらない。まだオールブラックスとスプリングボクスの2着だけ。ブーメランも購入。去年ゴールドコーストでも買ったのだが、遊んで投げているうちに折れてしまった。今度は飾っておくだけにしよう。
今日は晴れているが涼しく過ごしやすい。歩いていても汗ばむことはない。気温を聞くと24℃。昨日は暑かったようだ。空港からホテル、ホテルから駅への送迎は日本旅行シドニー支社の阿野さんという人。伏見工業でラグビーをやっていたそうだ。今度一緒にラグビーを見ましょうといって別れる。
インディアン・パシフィック号は定刻どおり14:55発。この列車の一番前を写真に撮ろうと思って行ったが、前2両はプラットフォームからはみ出していて撮れなかった。車両横のINDIAN PACIFICと書いたプレートを撮る。これから4,000km近くを3泊4日で走る。成田からシドニーまでが約8,000km。シドニー・パースがいかに遠いか分かる。列車の中は冷房が効きすぎて寒い。日本で着ていたセーターを引っ張り出し着る。部屋に調整装置が無いので乗務員に頼むが駄目。

奥さんと。帽子、靴は現地調達。

シドニーを出発して1時間もたつと人家は駅のそばでもまばら。それでもシドニーへの通勤圏なのか駅の間隔は小さい。5分に1駅くらい。(もちろんインディアン・パシフィックは通過するだけ。)
列車の個室には予想したとおり灰皿はなかった。シェラトンからくすねてきた灰皿を使う。でもあとで乗務員に分かってしまい、NO SMOKINGと怒られた。
列車のスピードは相変わらず上がらず40~50km/hか。急ぐ旅ではない。のんびりが売り物の列車だ。なんてたってバスより遅い列車なのだから。
第1回夕食。18:00からの組と19:30からの組に分かれるが18:00からの組を希望。これで全ての食事(夕食、朝食、昼食、夕食、朝食、昼食、夕食の7回)の時間が決まり、テーブルの席も最初に座った場所に決まる。
前菜はスープ、サラダのうちサラダ、メインディッシュはビーフ、チキン、サーモンよりビーフ、デザートはマカデミアナッツパイ、マンゴーソースクレープよりマンゴーソースクレープ、ホットドリンクはコーヒー、ティー、チョコレート、日本茶のうちからコーヒーを選ぶ。アルコールは別料金でワインを2人で1本。テーブルにはメニューとワインリストが置いてある。メニューには7回の食事全てが出ている。1回1ページで7ページある。
味はまあまあ。テーブルは4人掛け。前の2人はフロリダから来たアメリカ人夫婦。食事が終わってから気が付いたが、ラウンジカーで話しかけてきたキャサリン家族もいた。
夕食前にラウンジカーに行った時隣の婦人がどこから来たのか尋ねるので、ジャパンと答えると、婦人の娘が来て“私の名前はキャサリンです。どうぞよろしく。”と日本語で挨拶してきた。キャサリンの日本語は私の英語並みでお互い分からないながらもしばらく話をする。
カンガルーはピョンピョン走ると言うと、ピョンピョンが気に入ったらしく何回も繰り返していた。キャサリンはアデレードに住んでいて11年生(高校2年生)で日本語を勉強しているという。古い雑誌を送ってくれという。基礎英語1のテキストでも送ろうか。
アメリカ人夫婦もアデレードで降りるという。そのあとタスマニア島を回ってニュージーランドへ行くという。私たちがパースまで行くというと、英語だけの3泊だと笑っていた。
シドニーを出て3~4時間もすると周りは丘陵地帯で牛がまばらに放牧されている。それなりの数はいるのだろうが広いせいかまばらにしか見えない。

ラウンジ 左側奥がキャサリン
1月3日
6:00起床。外は明るくなり始めている。ちなみに暗くなるのは20:40頃。列車はスピードを上げてきている。80~100km/hか。昼間はゆっくり、夜は早くのようだ。景色はなかなか変わらないが見ているとブドウ畑や湖があったりする。野生のカンガルーが跳ねていたり、エミューが列車に驚いて走ったりしている。オーストラリアというとカンガルーがいくらでもいると思いがちだが野生のカンガルーはなかなか見られないらしい。
朝食は7:00から。ジュース、フルーツコンポート、トースト、卵、コーヒー。卵はスクランブルを選ぶが少しのベーコンと焼きトマト、ジャガイモが付いている。朝食後はボーと外を見ているか寝ているだけ。部屋は寒いまま。やはりセーターを着て足には毛布を掛けている。
12:00昼食。またワインを1本。昼食後ラウンジでくつろいでいるとキャサリンが来て、アデレードでショートツアーがあるから行ったらどうかと勧めに来た。時刻表を見るとアデレードで2時間20分停車するようになっている。この時間を利用した乗客のためのツアーだ。
アデレードはシドニーと違って暑かった。街は、日本の都市と比べると小さいが、オーストラリアでは大きい方だ。でも駅は小さくプラットフォームを横断するともう道路。駅の名前はアデレードではなくケスウィックとなっていた。
昔子供が小さい頃アデレードが舞台となって女の子が主人公のアニメがあった。家族で移民してきてアデレードの街を作っていくというものだ。流刑囚などでなく民間人がはじめて作った街はこのアデレード。歴史のある街なので一度は来たかったところだ。ツアーはAU$10/人。(以下$)30人乗りのバスは満員。運転手がガイドも兼ねているが何を言っているのかさっぱり分からない。市内で目立ったのはFor Sale、For Leaseの看板だ。景気が悪いのだろうか。1時間程度で駅に戻る。アデレードでかなりの人が降り、かなりの人が乗る。乗務員も交代。
第2回夕食。サラダ、メインは骨付きラム、アイスクリーム、コーヒーを選ぶ。飲み物はビールにする。ただビールを頼むとビタービールを持ってくるのでフォスターラガーを指定する。$3.8/本。昨晩と昼に飲んだワインは$17/本。
この夕食時に周りを見て驚いた。かなりの人がアデレードで降りたがこんなに入れ替わっていたとは。食堂車は48人掛けだがシドニーからのメンバーは私たちを含めて8人だ。乗ってきたのは若い家族連れが多く子供が一気に増えた。不思議なことにラウンジカーが別の車両にそっくり入れ替わっていた。
食堂やラウンジでいろいろな人に話しかけられるがアナウンスよりまし。なんといってもボディーランゲージがあるから。といっても分かるのはほんの一部。オージーイングリッシュは独特のものがある。人がHだというのに“アイチ”と言うし。18を“アイティーン”と言う。でも私にとっては訛りがあろうがなかろうが同じこと。なかなか聞き取れない。NHK基礎英語は本に書いてあるし、次に何を言うか分かっているから聞き取れるけど。
1月4日
8:00頃から風景が変わってきた。木はところどころになり背の低い草だけになってきた。それこそ真っ平らだ。はるかかなたに地平線が見える。線路の横に看板があった。「Longest Straight」ここから最長直線区間に入る。でも最長直線区間でなくても殆ど真っ直ぐだ。
今8:15なのに朝食のアナウンスはまだ無い。昨日は7:00からというから7:00に食堂車に行くもまだ何の準備もしてなくて7:30からになってしまった。6:00には目が覚めているのに。
ラウンジにはインスタントコーヒー、ティーバッグ、ミルク、砂糖が置いてある。お湯はいつでも出るので好きなときに飲める。ジュースやアルコールは有料でバーがオープンしているときだけ。一等車にはモーニングコーヒーが部屋まで来るがインスタントでおいしくない。食事のときに出てくるコーヒーは当然インスタントではない。
最長直線区間に入って左右とも砂漠。砂漠といってもラクダが出てくるような砂だけの砂漠ではなく、赤土に草がちょぼちょぼ生えている。

クック駅郊外
ここでは乗客全員が列車から降りる。日本人は一人旅の男性、学生らしい男2人と女1人のグループがいた。今まで会ったことはないから食事が遅い組か、もうひとつの食堂車の組なのだろう。
1時間の予定がもう2時間停まっている。外は暑く停車中ずっと外にはいられない。パース発のインディアン・パシフィック号が入ってきた。ここで交換だったのだ。すぐ出発する。
ここから西オーストラリア州なので時計を1時間半戻す。12:00が10:30だ。ブロークンヒルでも東オーストラリアから中央部に入ったので30分戻している。
昼食はメインにTempraがあったので選んでみる。大きくない海老が3匹、菜っ葉、人参の千切り。天つゆはなくペースト状のタレをつけて食べるようだ。ナイフとフォークで天麩羅を食べるのは初めてだがフライの衣が天麩羅の衣に変わったと思えばなんでもない。
砂漠の真ん中で列車が停まった。500mくらい先から土煙をあげ車がこちらに走ってくる。トラックだ。列車に何かを取りに来たのだろう。列車はゆっくりと走り出す。トラックも来た道を戻っていく。窓から小さな看板が見えた。NURINAと書いてある。小さな看板ひとつだけの駅なのだ。ここから30分もすると風景が少し変わってきた。グレー一色だった草に黄色いものが混ざり木も少し見られるようになった。さらに3時間ほどしてZANTHUSの駅を過ぎるともっと木が増えてきた。キリンがいたら食べごろの高さの木が多い。
最後の夕食。最後の食事でもある。メインにカンガルーがあったので頼む。臭さは無い。脂肪分も無い。牛の赤身に似ていないこともない。アフリカで食べたワニよりもずっとまし。
ホットドリンクはジャパニーズティーを頼んでみるがウーロン茶のようなティーバッグが出てきた。古いらしく色も匂いも味も無い。
カルグーリに21:20着。21:40出発なのにバスのショートツアーが出るという。おかしいなと思っていたらまた時計を1時間戻すのだそうだ。カルグーリは金鉱山の町で今も金が採掘されている。隣の町はもう金が出なくなりゴーストタウンになっているという。
真っ暗の中バスは走り、運転手は名調子で説明している。名調子だということは分かるが中身は分からない。立坑やベルトコンベアーがライトアップされている。駅に戻る前に飾り窓の前をゆっくりと通り過ぎた。ここは説明が分からなくても良く分かった。
1月5日
5:30起床。ラウンジに紅茶を飲みに行くと一人旅の日本人がいた。30代前半か。列車の旅が好きで2年前はオリエント急行、去年はバンクーバーからトロントまでやはり3泊で列車に乗ったそうだ。カナディアンロッキーの景色は最高だったと言う。
6:50からイーストパースというぱっとしない駅に停まっている。この次がパースか、信号待ちで停まっているのだろうと思いそのまま座っていると乗務員が呼びに来た。終点だそうだ。途中遅れたりしたが予定通りの到着だ。(遅れたと思ったのは時差のせいかもしれない。)
3泊もの列車の旅でどうなることかと思ったが飲んで、食べて、寝ているうちに3泊が過ぎた。いつも旅行をすると痩せるが今度ばかりは太るかもしれない。
列車内を歩いてみた。
1 機関車
2 スタッフオンリー
3 2人用個室 8室 シャワーつき
4 同上
5 ラウンジ
6 食堂車
7 2人用個室 8室 シャワーつき
8 1人用個室 18室 シャワーは1両に2つ
9 2人用個室 8室 シャワーつき 私たちはここの1室
10 2人用個室 16室 シャワーは1両に2つ
11 同上
12 ラウンジ
13 食堂車
14 コーチ(座席車)
15 同上
1 機関車
2 スタッフオンリー
3 2人用個室 8室 シャワーつき
4 同上
5 ラウンジ
6 食堂車
7 2人用個室 8室 シャワーつき
8 1人用個室 18室 シャワーは1両に2つ
9 2人用個室 8室 シャワーつき 私たちはここの1室
10 2人用個室 16室 シャワーは1両に2つ
11 同上
12 ラウンジ
13 食堂車
14 コーチ(座席車)
15 同上
このようになっていると思うがクックで車両を数えたら16両あった。1両不明。コーチに行くドアーには鍵がかかっていては入れなかった。このドアーを開けるとコーチの120人がどっと入ってくるからと乗務員は説明してくれた。スタッフオンリーから前も行けなかった。機関車が2両あったのかもしれない。
駅から10分ほどでバースウッド・リゾート・ホテル&カジノに着く。このホテルはいいホテルだ。スワン川沿いのシティーとは反対側に建ち、周りはバースウッド公園。当然緑がいっぱい。ロビーや客室もかなり広い。歴史が浅いせいかブリスベーンのヘリテージホテルのような重厚さはないが明るい雰囲気。

ホテルの部屋からの眺め
駅まで迎えに来てくれた和田さんよりツアーの説明を聞いたり、風呂に入っているうちに10:30。外に散歩に出るが朝食抜きなのでおなかがすいて来た。ホテル別棟(カジノと同じ棟)にある中華料理屋ゲンティンが土日だけ昼に飲茶をやっていて結構おいしい、というのでオープンの11:00にあわせて入るがもういっぱいの客。私たち2人の席がやっと確保できる状態。標準の味、マカオの福臨門の飲茶の方がおいしかった。
13:15ホテル出発で波止場に行きフリーマントル行きの船に乗る。スワン側をゆっくりと河口に向かい1時間半かけてフリーマントルに着く。ヨットが多い。何年か前にアメリカズカップをフリーマントルでやったのが自慢のようだ。100人以上の乗客がいるのにフリーマントルで降りたのは私達と他4人。皆そのままパースへと帰っていく。ただクルーズに来たのだ。皆降りないからといってそのまま乗っていたらパースへ戻ってしまうところだった。
土日はフリーマーケットが開いているというので行ってみる。ものすごい人だ。衣料品から金物、食料品、土産物と色々な店がある。独特の匂いもする。フリーマーケットといっても大きい平屋の建物の中に場所を決めて店を出している。フリーマントル・マーケットの略で誰でも自由に店を出せるわけではない。
マーケットは17:00で閉まる。マーケット以外でもどんどん店じまいをしている。中世ヨーロッパ風の店舗が非常に多く建物だけでも絵になる街だ。$2ショップがあったので入る。種種雑多な物が置いてある。皆さんへのお土産はここで買いました。
夕食を予約したセイルズシーフードは18:00からなので、ラウンドハウスに登ってインド洋を見る。雲ひとつない快晴だが風が非常に強い。ここから見る沈む太陽は最高だ、と書いてあるがサンセットは19:30頃。18:00のオープンと共にセイルズシーフードに入る。夕日が良く見えるように全面ガラス張り。窓際に案内してくれたが直射日光に当っているようで参った。サンセットまでねばる。

風鈴(マーケットで。買いたかったがかさばるので諦める。)
この店よりランドハウスでサンセットを見たかったと奥さん。風の強さやタクシーの手配など考えて店にいた。日本人客が多かった。料理はそれなりの味だが、飲み物別で2人で$100は高い。帰りはタクシーで30分で$30。
1月6日
ピナクルス4WD観光に7:15出発。純子さんというガイドと見習いの男の子と2人で迎えに来た。4WDには11人の客がいたが、純子さんは私たちだけのためのガイドですと言っている。あとでチラシを見ると、私たちが申し込んだクォッカホリデーは必ず日本人ガイドをつけますとある。他の人たちは4WDの会社サファリトレックスにじかに申し込んだのだろう。
途中双子のコアラのいるヤンチャップ国立公園へ行ったり、ワイルドフラワーを見たりしながら14:00頃ピナクルスに到着。ピナクルスは砂の中から岩がにょきにょき生えているようだが、石灰土壌の柔らかいところが雨や風などで流されて、木の根っこに包まれたところが残ったようだ。もちろん出来るまで何十万年とかかっている。気温は37℃。でも湿気が少ないので汗がだらだらということはない。ピナクルスも広い。車でなければ到底回れない。

ピナクルス 後ろはインド洋

インド洋に入る奥さん
砂は非常に細かくこのまま磨き砂に使えそう。細かいから締まっていて4WDで相当なスピードで走れる。タイヤの跡も殆ど付かない。インド洋を見るのはケープタウンについで2度目だが足を入れるのは初めてだ。当然海はきれいなのだがすごかったのは空の青さ。雲ひとつないせいもあるがどこまでも青くすばらしかった。紺碧の空などとなまじ形容しないほうがいい。
海岸にはところどころ掘っ立て小屋の集落がある。伊勢海老取りの人たちが国有地に勝手に建てたもので、電気もなく暮らしているそうだ。4WDは砂丘にも入り急坂を下ったりもする。急坂を下る手前で運転手のすぐ後ろに座った私には、急に前がなくなり絶壁を落ちるのではないかと見えびっくりした。が、後で下から見ると40°もない勾配だった。でも乗客みんなが喜ぶので運転手はもう1度トライしている。
2時間ほどブッシュの中を走る。普通の車では到底走れない道だ。同じ会社の4WD4台が無線で連絡を取り合いながら走るので心強い。例えば狭い曲がりくねった道で対向車が来るとすぐ無線で後続の車に連絡する。
山火事になった跡地も走る。大きい木は真っ黒だが、もう下から若木が生えている。ブラックボーイという木は山火事がないと成長しないと言う。山火事で硬い殻がはじけ、種が地面に落ち新しい芽が生えると言う。山火事を必要としている生物がいるなんて考えてもいなかった。ここのブッシュには結構カンガルーがいてあちこちで跳ねている。
20:00少し前ホテルに戻る。むしょうにビールが飲みたくて着替えないでEDO KIRINへ行く。へんな名前だが麒麟麦酒が出資している日本料理屋。このホテルの2階で営業。やはり和田さんお勧めの店。冷奴、ホタルイカの醤油づけ、伊勢海老の刺身セット、握り寿司を頼む。ビールは当然キリンだがラガーの小瓶のみ。ウェートレスは全員日本人で着物を着ている。オーストラリア人は受付にいるだけ。一人に“オーストラリアに来てまで着物を着るとは思わなかったでしょ。”と言うと、“英語の勉強より着付けを習うほうが大変です。でも母は喜んでいます。”と関西弁で返ってきた。伊勢海老の殻をだしにして味噌汁も出来ますが、と言うので頼む。きちんとした味だった。お値段もきちんとして全部で$190。
1月7日
8:00出発で半日市内観光。キングスパーク、レイク・モンガー、バースウッドパーク(ここはホテルのあるところ)、その他がコースに入っている。キングスパークからの眺めはかなりいい。レイク・モンガーにはブラックスワンがいる。今は禁止になっているが以前は餌をやってもよかったので、観光客を恐れることなく近寄ってくる。ただバスは10分しか停まってくれずあわただしく写真を撮って終わり。ここパースではスワンと言えば黒鳥のこと。町の人に愛されているらしくスワンビールはじめスワン何とかがたくさんある。そしてマークは皆黒鳥だ。

レイク・モンガーの黒鳥
パースの市街は小さく端から端まで車で10分ほどだろう。緑も多くいいところだ。地震もなくサイクロンもここまで降りてこないという。地価もシドニーの半分くらいだそうだ。言葉が不自由でなければ住むには最高の部類に入る。ただ蝿が多い。でも東海岸の都市では蝿が見えないから、パースの蝿もそのうち少くなくなるだろう。
観光後市内のバスターミナルで降りヘイストリートなどのショッピング街へ行く。やはり店舗の正面は中世ヨーロッパ風。何も買わずに散歩だけ。駅を挟んで反対側に中華、日本食街があるというので行ってみるが、中華海鮮の高そうな店ばかり。やっと上海灘と漢字で書かれた垂れ幕のある、中華料理ばかりのアーケードを見つける。このうちの1軒でラーメンを頼む。料理が写真で出ているので指でさすだけで注文できる。日本のラーメンのような醤油味ではないがまあまあの味。日本でまあまあの味ならオーストラリアはじめ外国でラーメン店をやればかなりはやると思う。今“相撲”という店が何店舗かあるが食べれたものではない。
14:00頃ホテルに戻る。さあいよいよカジノの本番が来たと着替えて出発。行くときはいつも元気がいい。手持ちの$がないので両替。$1=¥94.5。成田でチェックは¥95、現金は¥105。このカジノは両替の率がいいのでも評判だ。
オーストラリア特有のツーアップがある。テーブルはドーナツ状になっていて真ん中で客の1人が2枚のコインを空高く投げる。低いとやり直しさせられる。2枚とも同じ面だとH。1枚ずつ違う面だとT。HかTに賭ける。賭けている人も賭けていない人もコインをにらんで上を向きそして下を向く。
昔アラブの王様が“オーストラリアの人はなんて信心深いのだろう。皆何時間でもお祈りをしている。”と言ったという笑い話はこのツーアップのことだ。
ここはめずらしくブラックジャックのテーブルが多い。次にルーレット、ポーカーの順。やはり慣れているブラックジャックを始める。もちろんミニマムが一番小さい$5のテーブルだ。他に$10、$25のテーブルがある。
博打にアルコールは禁物だというけれどノンアルコールだとどうも調子が出ない。ウィスキーの水割りを頼むとコーク割を持ってきた。甘くてしょうがない。次からはジントニック。どちらも$4.2。$5のポーカーチップを渡すと_20コインを4枚お釣りによこす。このコインが大きく重い。もう20枚くらいたまっている。客もディーラーも若い女性が多くなかにはびっくりするような美人もいる。
手持ち札14でステイしたら隣のおじさんが“何故14なのに引かないんだ。”と言う。“I hit only a picture.”とつたない英語で答えると皆大笑いだ。ディーラーの監視員まで笑って、たまにはいい札出してやれよというようなことをディーラーに言っている。次の人が引いた札はやはりピクチャー(絵札)だった。絵札は全て10に数えるから10は他の数の4倍以上ある。手持ちが11の時にはチャンスになるが12以上の時に来ると21オーバーになり賭け金は没収されてしまう。
ここのカジノはチップを受け取らない。前々日半端のポーカーチップが出たのであげようとすると受け取らなかった。そういえばホテルの部屋の通称枕銭もそのまま残っていた。
帰りの準備のため18:00に終わりにする。手持ちは$300。初日$200の負け、二日目$160の負け、今日$100の勝ち。トータル$260の負けということになる。
シドニーのホテルまで、パース空港まではベンツS300の新車、イーストパース駅への迎えはBMW740の新車、シドニー中央駅へもベンツだった。バースウッドホテルには送迎用に2台のロールスロイスがある。
輸入車の関税は高く日本の倍はするのに輸入高級車で送迎をしてくれる。和田さんは日本旅行のサービスだと言っていた。ベンツ、BMWには日本でも乗れるがロールスロイスとなるとなかなか機会がない。まだ座ったこともない。次回はロールスロイスでお願いしますよ。
また空港ロビーを含めて12時間の禁煙だ。
今回カメラは中判のマミヤ7とコンパクトなコンタックスTVSを持っていった。フィルムは富士とコダック。富士は色が薄く、コダックは濃すぎる。どうもうまくいかない。
第9報終わり

列車最後の夕食メニュー
