マカオ

1996年6月6日~9日  

今年で49歳になった。
 当たり前だが来年は50歳ということになる。この50歳という年齢に強く圧迫されている。65歳まで働くつもりだからあと15年だ。15年で何が出来るかというと考え込んでしまう。やりたい事はあるが、頭だけでは何も出来ず、どうしても土地から取得しなければならず莫大なお金を必要とする。この年で失敗すると立ち直れないから慎重にならざるを得ずチャンスを待つしかない。
 遊びの方は、無趣味であったがようやく海外旅行という楽しみを見つけた。世界中行きたいところばかりで、どこから行くかと考えるとやはりテーマを持ったほうがよい。テーマはラグビーとカジノにした。
ラグビーを見るのはもともと好きで、5年前の第2回ワールドカップから年1回海外でラグビーを見ている。
 あと何故カジノにしたかというと、日中は観光で忙しくても夜にはやることがなく暇で暇でしょうがない。楽しい夜を過ごすためにカジノにした。理想はカジノのあるホテルに泊まって、観光のあと1~2時間遊んでから寝ることだ。なお欲を言えば食事代くらい稼げれば最高だ。
海外旅行は70歳までだろう。
 あと20年。年4回行っても80回。山田風太郎式に言うと“あと80回の海外旅行”ということになる。カジノのある国(地域)は140程。重複して行ったりするから半分の70カ国行けるかどうかだろう。世界の全カジノを回るなんて夢のまた夢。でもあくまで観光が主でカジノはおまけだからそう深刻なものではない。
今回はマカオを選んだ
 香港を素通りしてマカオ3泊だ。同行者は古くからの友人深海氏だ。マカオというと日本人にはカジノしか浮かんでこないがやはりカジノだ。夕方ホテル ウェスティンリゾート・マカオに着いてびっくりしたのはこのホテルにカジノがないことだった。昭文社のエアリアガイドにはカジノありと書いてあったからこのホテルを選んだのに。エアリアガイドは情報が間違っていたり、古かったり色々する。
 マカオ市街から車で15分の距離だ。コロアネ島の南側にあるこのホテルは本当に静かだ。全室オーシャンビューで部屋もベランダも広く快適だ。ベランダにはデッキチェアーなども置いてあるが、暑くて昼寝はしていられない。スリッパからバスローブまで何でも揃っているが湯沸しだけはなかった。でもルームサービスへ頼むとすぐにお湯を持ってきてくれる。
 市街とコロアネ島の間にタイパ島があり、このタイパ島の北側までゴチャゴチャと高層ビルが立ち並んでいる。
タイパ島から見たマカオ市街
そこから先は何もない。林ばかりだ。ウィークデイには客も少なくひっそりしている。でも土日は家族ずれでいっぱいだ。当然小さい子供が多く、このときばかりは騒々しい。中年のおっさん2人ずれはわれわれだけだ。
ホテル・リスボア
ホテル リスボアのカジノに行くが大混雑。あいている椅子があるどころではなく一重二重に人が各テーブルを囲んでいる。ポーカーチップを賭けるのにエクスキューズを言わなくてはならない。
 今まで勝った、負けたしか書いていないのでもっとカジノについて書いたほうがよいというご指摘を受けたので、今回はブラックジャックの説明をする。(ルーレットは概略分かっているでしょうから。)
 トランプを使う。6組使うことが多い。ディーラー(カジノの従業員)は客にカードを1枚ずつ表を上にして配り、自分も1枚表を上にして取る。次にまた客に表を上にして1枚ずつ配る。自分も1枚取るがこれは伏せてある。客は何人いてもすべてディーラーとの勝負。客同士の勝負はない。21に近いほうが勝ち。J,Q,Kの絵札はすべて10に数える。Aは1か11のどちらか、自分の都合のよいほうに数えられる。2から10までの札はその数字のとおりに数える。
 まず客からゲームを進める。配られた2枚のカードがAと10札の場合、2枚で21となるがこれが1番強い。(ブラックジャックと呼ぶ。)どこのカジノでも賭け金の150%の配当をくれる。配当を貰ったらこの客はこのゲームを終了する。(ディーラーもブラックジャックだと引き分けになってしまうが。)
21未満の場合客は何枚でも引ける(ヒット)が、21をオーバーしてしまう(通称ドボンという)と賭け金を没収されてゲーム終了。適当なところでステイ(もうカードを引かない。)しなければならない。
全客がヒット、ステイし終わったらディーラーの番。ブラックジャックだったら全客の賭け金を没収できる。これでこのゲームは終了。
 17以上ではカードを引けない。16以下ではカードを引かなければいけない。ドボンしてしまったら残っている客全員に賭け金と同額の配当をする。17以上21以下ならば数字の勝負で、ディーラーより大きい数の人には賭け金と同額の配当をする。小さい数の人の賭け金は没収。引き分けもある。これでこのゲームは終了。
 自分の手が17以上だとほとんどの人はステイする。12~16辺りでどうするか考える。なにしろ絵札は全て10に数えるから10が来る確率が高い。そこでディーラーの表になっているカードを見る。7以上だとディーラーはいい手の確率が高いのでヒット。6以下だとディーラーは3枚勝負になりドボンの確率が高いのでステイ。というのがセオリーのようだ。ヒットするかステイするか自分の意思で決められるのが私は好きだ。
 客は配られた2枚のカードの合計が11のとき、次に10札が来るのを期待して、ダブルと言って賭け金を倍にすることが出来る。でも10札が来なくても1枚しか引けない。(このダブルで勝てないと儲からない。)
同じ数が2枚のときはスプリットと言って、同じ賭け金を置いて2つに分割することが出来る。Aが2枚の時にはだいたいの人がスプリットして10札が2枚来ることを期待する。(ダブルにして10札が来た場合殆どのカジノが150%の配当をしない。)
 このスプリットで大失敗をしてしまった。8が2枚来たのでスプリットしたところまた8が来てトリプルになった。後から来たカードは4、A、4で12,19,12となった。ディーラーの表札は6だったので、ディーラーのドボンを期待して3箇所ともステイしてしまった。ディーラーは結局20になり全部取られてしまった。ここでステイするなら最初からステイすべきだし、12の2箇所はヒットすべきだった。中途半端なことをしてしまった。“良いとき2枚”の時だけに本当に悔やまれる。(映画レインマンのシーンで悪いとき1枚、良いとき2枚というのがあったが、かっとして賭けすぎないよう思い出すことにしている。)ここが勝負の分かれ目であとはズルズル。
タイパ島のハイアットリージェンシー
 タイパ島のハイアットリージェンシーのカジノにも行った。ガイドブックにある通りの小さいカジノで6テーブルだけ。5テーブルがバカラで1テーブルが大小。バカラはミニマムがHK$500(HK$1≒¥15、以下$)という高額なこともあり大小をやるが全然駄目。お金がなくなって両替すると¥10,000で$600しかくれない。街の銀行では$705くれたのに。ハイアットリージェンシーには行かないほうがいいですよ。
 同行の深海氏いわく“負けてばっかりなんだからもうカジノやめれば。”
私、“やめたら夜はカジノでシリーズが6回で終わっちゃうじゃない。”
リスボアの前で。後ろはタイパ島と古い橋。
通貨
 マカオの通貨パタカは全然流通していない。カジノもレストランもタクシーも全て香港ドルだ。でも波止場の免税店のお釣りに紛れ込んでいたりする。気がつかないで船に乗ったらもう終わりだ。船の中から先ではパタカはもう通用しない。
 波止場はきれいになって免税店も小さいが2店ある。香港の免税店より必ず安いと日本語で張り紙してある。ポルトガルワインが安かったので買いたかったが、箱入りでないのと香港への酒類持ち込み制限が1本のため、ポートワインを1本買ったに過ぎない。香港のこのあたりの政策はおかしい。自由港だ、フリーポートだと宣伝している割には、酒類持込1本だし車やガソリンの値段はばか高い。
第1回夕食
 国内外を問わず旅行で最大の楽しみは何といっても食事だろう。 
 第1回夕食。市街の福臨門魚翅海鮮酒家。まず出てきたのはフカヒレとアワビのスープ。これはうまかった。順次パイナップル入酢豚、海老のフライ、牛肉と野菜の炒めと出てくる。どれもとてもおいしい。高級レストランにしてはざわついているが味はさすがだ。深海氏は“うまい、もう死んでもいい。”と言いながらかぶりついている。車海老のフライはシンプルな感じもするが味わうと奥が深い。小さく切って揚げてある。紹興酒共で$1,080。香港に全く同じ字を書く福臨門があるがそれとは別経営。香港のほうは¥25,000/人覚悟しなければならないようだ。マカオの福臨門は安いけど味に遜色はないと思う。メニューに日本語版があった。日本語版メニューがあったのはここだけ。
第1回昼食
 第1回昼食。ホテル ポウサダ・デ・サンチャゴ内のグリル・フォルタレッサ。ポルトガル料理だ。このホテルは要塞の跡だそうで、洞窟の中の階段を上がった2階にレストランがある。全23室でエレベーターはないが邱永漢氏推薦のホテルだ。マカオにはあと1ついいホテルがあるという。ベラ・ヴィスタといって創業100年、全8室スイート。この2つがマカオの最高級ホテルらしい。私たちのウェスティンリゾートはこの次に位置するようだ。
 料理はメニューの中のシーフードのページから適当に指差して頼む。出てきたのは25cmくらいの魚で半身にしてメリケン粉を厚めにまぶし油で焼いたようだ。おいしかった。ソースがよかった。付け合せの野菜はジャガイモ、人参、カリフラワー、セロリ、にんにく、さやえんどう。パンにバター。バターがちょっと変わっていた。オレンジ色でやわらかくパセリのみじん切りが混ぜてあった。全部平らげる。ポルトガルワインはあえて赤を頼んだが、酸味が少なく飲みやすく、1本では足りずにグラスでも頼む。魚は何かと聞いたらSOLEと書いた。あとで辞書を引いたらカレイと出ていた。深海氏はここでもおいしいを連発していた。合計$804。
第2回夕食
 第2回夕食。ウェスティンリゾート内の観海軒。アワビの料理が売り物ということなのでアワビの煮物を頼んだが特徴がない。まずくはなくおいしいんだけど特徴がいまいちない。客は私たちの後2組入ってきただけ。隣のバーも覗いたがひっそりとして誰もいない。ビール共で$975。深海氏はここからアルコールを取らなくなる。普段も“飲むと馬鹿になるような気がする”と頭脳労働者らしいことを言ってあまり飲まない。今回は今までが飲みすぎだ。
プールから見たウェスティンリゾート・マカオ
第2回昼食
 第2回昼食。午前中はホテルのプールでのんびりとする。昨日街へ行ったとき、深海氏がビーチサンダル、私が帽子を捜したがどちらもなく、海には行かずプールにした。ヤオハンにも行ったがなかった。プールのわきにスパがある。お湯ではなくプールの水とつながっている。でもプールの水はぬるま湯になっていて気持ちがいい。しばらくここで過ごす。
 昼は点心とラーメンを食べようと話がまとまり、ホテルのシャトルバスで街へ行きまた福臨門へ入る。シュウマイ、海老団子、焼きそばを頼む。ヌードルスープはなかった。海老団子は練り物に海老が入っているのかと思ったが、前回と同じように車海老を適当な大きさに切って蒸したようだ。
 やはり福臨門はおいしい。ビール2本共で$173。2人で2,600円。手ごろな値段だ。
第3回夕食
 第3回夕食。馬(実際はニスイに馬)記火鍋酒家へ行く。通称香港しゃぶしゃぶ。マカオは英語が通じない。日本語はもっと通じない。私たちの下手な片言のせいかと思ったがそうではない。メニューの漢字を見てもさっぱり分からない。ウェートレスのチーフに“貴女好物二人分”と書いて見せたら、分かったんだか分からなかったんだか分からないが、こっちへ来いと手招きする。付いていくと生簀がいっぱい並んでいる。伊勢海老を指差すからOK。大きな貝を指差すからOK。あとエノキダケ、中国野菜を持ってくるからOK。煮立った鍋を開けるとだし汁に豆腐とモヤシが入っている。伊勢海老も貝もいいところは刺身で出てくる。伊勢海老の足はから揚げ、貝の舌は最初から煮る。
チーフと伊勢海老
刺身のように切ってあるけれど、全部湯に通して食べたほうがいいに決まっている。でも醤油もわさびも出ている。少しだけ刺身として醤油、わさびで食べたら大変おいしかった。貝も赤貝と同じくらいコリコリしていておいしかった。深海氏は“大丈夫かな、うまい。大丈夫かな、うまい。”と言いながら刺身で食べている。
第3回昼食
 第3回昼食。帰路途中香港でラーメンを食べる。牛肉湯麺とあった。$21。これは1人前。深海氏は私の会社の近くのラーメン屋のほうがおいしいと言っていた。朝食は全てホテルのバイキング。皆さんご存知のものばかりです。深海氏が普段何を食べているのか知らないがこんなにおいしい、おいしいを連発してくれて誘い甲斐があった。
 ラグビーはフランスを除くと英語圏が圧倒的に多く強い。だからどうしてもラグビー観戦は英語圏が多くなる。何で英語圏の料理はおいしくないんだろう。本家イギリスはもちろんのことオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカとみんなおいしくない。アイルランドは少しまし。食べ物がおいしければラグビー観戦ももっと楽しくなるのに。
人参と黒真珠のクリーム
 マカオの波止場から香港啓徳空港までのガイドがおかしな物を持っていた。人参と黒真珠のクリームでシワ、シミが取れ皮膚の老化防止になると言う。痩せる石鹸の次にそんなものが出ましたかと言うと、痩せる石鹸は効かないがこれは効きますと言う。日本では1個¥10,000ですがここでは¥5,000です。2個買うと¥8,000、3個買うと¥9,000、5個買うと¥10,000です。チップ代わりに5個買う。箱には日本定価¥10,000と印刷してある。よくまあこんなものを考え付くものだ。うちの奥さんは中身を見て¥300位のものかと言っていた。ただいま奥さんと上の娘が実験中。ご自身で実験してみたい方は連絡ください。8月末に家族が香港へ行くので買ってきてもらいます。
生もの
 当レポート執筆中に深海氏から連絡あり。胃痙攣のような痛みと下痢が続き医者に行ったところ、細菌性のもので下痢止めなんかでは治らないよと言われ、抗生物質を貰ったと言う。体調は戻ったが5日間仕事にならなかったそうだ。
 私はというと腹はなんでもなかったが風邪を引いて全休2日間、半休2日間という状態だった。伊勢海老や貝は生きているものを使っているから新鮮だが、洗う水が問題なのだろう。バリ島ではないので油断してしまった。おいしくても生ものは駄目だ。皆さんも十分注意してください。
第6報終わり
マカオ概略図

PAGE TOP