
アメリカ ラスベガス(フラミンゴ・ヒルトンホテル)
1995年11 月20日~25日
グランドキャニオン
No problem!とパイロットは言うけれど、ずっと揺れっぱなしで何回落ちそうになったかわからない。という書き出しにしようと思っていたが、このエアーネバダの10人乗り小型飛行機は全く揺れない。フーバーダム、ミード湖を越えて高台(2,000m位)に差し掛かるときに少し揺れただけ。ジャンボ機より揺れない。帰りなどは日暮れてきて夕焼けを見ていると飛行機が止まっているんじゃないかと思うくらい。
3年前家族が来たときには揺れて揺れてもう2度と乗りたくないと言っていた。このときは私も悪かった。家族がロス、ラスベガスに行くと決めたときに、グランドキャニオンの飛行機は時々落ちるんだよね、と言ってしまったから。次女にはお父さんが変なこと言うから生きた心地がしなかったとも言われた。
ラスベガス3泊、ロスアンジェルス1泊の4泊6日の社内旅行だ。社員、外注さん、取引先、合計17人。昼食1回だけ付いて\107,000/人。ベガス2泊、ロス2泊だともっと安くて10万円を割るが、ロスの治安が心配だったのでロスの1泊をベガスに振り分けてもらった。景気は最悪だが15周年ということもあり社内旅行を実施。
このグランドキャニオン日帰りツアーは現地オプションで昼食つきUS$201/人。14人が参加した。町外れの小型飛行機専用飛行場から11:00出発。乗る前に体重を聞かれる。重い順にパイロットの隣、それから左右、左右と後ろへ振り分けていく。飛行機のバランスを考えているのだろう。

グランドキャニオン行き小型機
さすがにグランドキャニオンは凄い。大地の裂け目という感じだ。コロラド川が数十億年かけて浸食したというが、空から見ると大地の裂け目の底をコロラド川がちょろちょろ流れている感じだ。この裂け目は全長460km、最大深さ1,600m、最大幅16kmだそうだ。やはりベガスまで来たらグランドキャニオンまで来るべきだ。年間観光客は500万人。小型機は次から次へと来る。
バスで観光スポットを2箇所まわる。ガイドは日本人のお婆さんでグランドキャニオン国立公園内に住んでいると言う。最近はどこへ行っても日本人ガイドがいるから気安い。昼食時の土産物屋でカーボーイハットを買う。$67。
観光後IMAXシアターに連れて行かれる。どうせたいしたことはないだろうと思い、寝不足解消にしようと思ったがこれが凄かった。グランドキャニオンの歴史を題材にした映画だが、18m×24m(私の目測)の大スクリーンで、いきなり絶壁の中の急流をゴムボートから撮影した場面が出てくる。見ている者が実際にゴムボートに乗っている錯覚に陥ってしまう。大画面なのにくっきりと写っていて凄い迫力だ。観光客が入っていけないところをゴムボートやヘリコプターで撮影している。皆この映画が一番怖かったと言う。グランドキャニオンに行ったら是非IMAXシアターに寄って欲しい。私の不出来なレポートでは表現しきれない。
天気も良く暖かだった。ガイドの話では例年だと雪が1回や2回降っている季節だが今年は暖かいとのこと。天気といい、小型機の揺れ具合といい、大統領と議会の和解といい日ごろの行いのよさが現れている。この大統領と議会の和解は心配だった。なにせ和解するまで国立公園は閉鎖されているのだから。

飛行機からのグランドキャニオン
ロスとベガスの天気だけ見れば誰でも日ごろの行いのいい人になってしまう。何しろめったに雨は降らないのだから。たまに雨が降ると雨漏りのする家が多いそうだ。家を建てるときに雨が降ることを前提にしていないそうだ。

フラミンゴ・ヒルトンの入り口の派手なネオン
このホテルは1946年にギャングのバグジーがザ・ストリップ(今ではラスベガスのメインストリート)に初めて建て、名前のフラミンゴは愛人の愛称から取ったという由緒(?)あるホテル。ザ・ストリップの正式名称はラスベガス・ブルバードだが、カジノで皆すってんてんになるところからザ・ストリップと呼ばれるらしい。日本のオケラ街道みたいなものか。
フラミンゴ・ヒルトンの部屋数は3,000余。エレベーターから私の部屋まで300m位。かなり歩きでがある。最近のホテルは5,000室の規模だ。こういうホテルがザ・ストリップ沿いに密集したり点在したりしている。またザ・ストリップ突き当りのダウンタウンにも数百室の規模の昔からのホテルが20軒以上ある。これらのホテルのどこにも広大なカジノがある。皆かなりの数の人が入っている。
ベガスのカジノはスロットマシーンが主体だ。5セント、25セント、50セント、1ドル、5ドル用がある。次にサイコロを使ったクラップス、トランプを使ったバカラ、ポーカー、ブラックジャック、その次にルーレットが来る。ルーレットの台はハーフサイズで4~5人しか座れない。大小にいたってはフラミンゴ全体で1台しかなく出目を当てるテーブルはない。この大小には殆ど客はいない。
あとキノがある。キノは1~80までの数字のうち、自分で適当に1~15個の数字に印をつけ、ディーラーの出した20個の数字に対し当っていれば配当が出るというものだ。例えば10個の数字を選び賭け金を支払う。1回の賭け金はいくらでもいいみたいだ。$2にしてみる。10個のうち5個当っていれば$6の配当。6個当れば$50。7個ならば$200の配当だ。10個全部当れば$100,000以上の配当。4個以下では配当なし。これがなかなか当らない。スピードくじみたいなもんだが少ない金額で結構な時間遊べる。
11月20日
成田発18:00のJL02便は満席。22:00頃寝るが1:00には周りがうるさく目が覚める。外は明るい。2:40もう窓からは陸地が見える。いよいよアメリカ本土だ。3:10サンフランシスコ着。現地時間は10:10。ベガス行きは13:00発。飛行機乗り換えのためだけの日本人ガイドが来てくれた。彼女の話では、今日は快晴だが昨日は霧が深かった。そして昨日まで国立公園は閉鎖されていたから今日帰る観光客はいいところがなかった。
フラミンゴ・ヒルトン着15:15。だがガイドの手際が悪く部屋に入ったのは16:30。一風呂浴び、それからみんなと食事に行く。フラミンゴ地下の浜田という日本料理屋。ニューヨークストリップステーキ$20、バドワイザー$3×2本。ベガスは食事が安いと聞いていたがそうでもなさそう。ハワイではバドワイザーは$2しなかったはずだ。ステーキはかなりのボリュームがありコックが目の前で焼く。肉のほかに海老、玉葱、マッシュルーム、モヤシとあと一品野菜があった。ご飯、味噌汁つき。私は全部食べたが食べきれない人もいた。コックは日本人、英語はまったく喋れないと言っていた。
食後キノへ行き$10の損。これはほんのご挨拶代わり。スロットマシーンを$100やりルーレットへ移る。ルーレットでは$200の負け。ルーレットをやっているときにサイレンがけたたましくなった。誰かがスロットで大当たりを取ったのだろう。
カジノでは飲み物は無料だ。“カクテール、カクテール。”と声を出して周っている女性に頼めばすぐに持ってきてくれる。この女性はミニスカートをはいているが若い人はいない。無料といってもやはりチップの国、$1を渡すとにこやかにThank youと言う。愛想は抜群にいい。韓国とは大違いだ。
23:00頃ベッドにもぐった。飛行機であまり寝ていないのでよく寝られるかと思ったがそうでもない。3:00頃目が覚めた。24階の部屋から外を眺めるとどこもネオンでピカピカだ。フラッシュなしで写真が撮れるだろう。
11月21日
再度寝て結局目が覚めたのは9:00。朝食はビュッフェ。バイキング形式だ。$7。高かった。ガイドブックには他のホテルで$4と出ていたから。
スーパーパウンに行く。総勢12人。スーパーパウンは質屋で質流れ品を売っている。高級なアクセサリーもあるし、テレビ、コンポ、ビデオの電気製品や、驚いたことにかなり使い古した電動工具まであった。ブレスレット1つを買う。$342。半端の2も負けなかった。かえってギリギリの値段なのかと自分の都合のいいように考える。
ファッションモール、ザ・フォーラムへ行く。どのショッピングセンターも広く歩き疲れる。化粧品店があるたびにボールペンタイプの香水を聞くがどこにもない。ザ・フォーラム内のイタリアンで昼食。ピザを頼む。大きく直径25cmくらいある。$9.25。例によってバド2本。
このザ・フォーラムはショッピングセンターのくせにカジノを持っている。このカジノを通らないと外に出られない。入り口から出ようとすると、ガードマンが出口は向こうだと追い返す。そうアメリカのカジノは通路なのです。歩きながら5セントでもスロットマシーンに入れてもらいたいと考えているのです。ヨーロッパみたいに社交場で特別の場所だ、なんて考えてはいないのです。
ホテルに戻りスパへ行く。念のため水着を持って行くが裸とのこと。スパのエアーはものすごい勢いで出ている。身体の洗い場を探すが、眼鏡をはずしているので良くわからない。適当に扉を開けるとサウナがあった。5分ほど入る。洗い場の場所を聞くとシャワーで洗えとのこと。ここにはドライヤーもあったので頭を洗い出る。スパへの途中ホテルのショッピングアーケードがあったので覗くが、ピアスなどに使われている金はすべて14K。
ジークフリード&ロイのマジックショーを見るため着替えて下に降りる。18:30マジックショーの会場のミラージュホテルへ全員で移動。このショーは別名ホワイトタイガーショーといって白い虎が人気のマジックショーだ。人気があり当日ではチケットが取れないというので事前に日本で申し込んでおいた。\10,000。これは当然ツアー料金に含まれていないので皆から徴収する。チケットを見ると定価は$79。“そりゃ現地の代理店も儲けなけりゃしょうがないよ。”と話すガイドは、人気のあるショーのチケットは私達もダフ屋から買うんですよ、とも言う。
アメリカらしい派手なショーだ。のっけから宙吊りになった籠の中の美女がホワイトタイガーへと変身する。レーザー光線、クレーンなど使ったスケールの大きいショーだ。他に出てくる動物は普通の虎、ライオン、象まで出てくる。またたくさんのダンサーが必死の形相で踊っている。こちらは交代要員がいくらでもいるから文字通り必死だ。
隣町の農協主催で200人の団体が2週間ほど前ベガスに来てショーを見たが、万才ショーみたいなものでちっとも面白くなかったという話が伝わってきた。ベガスにショーは付き物だがただショーを見ればいいというものではない。英語を日常語にしていない者が万才ショーなど見ても面白いわけがない。言葉がわからなくても楽しめるショーを見なければいけない。農協の選択ミスもしくは、何でもいいからショーに連れて行けばいいと考えていたのかもしれない。このミラージュホテルもカジノを通らないと劇場へは入れない。劇場の外に出てタバコを吸っている間にスロットで$10すってしまった。
フラミンゴに戻ってからまたキノへ行く。80個の数字から9箇所マークした。1箇所も当らない場合がある。9箇所のマークのうち5箇所以上当らないと配当はない。席の横の説明書を眺めていると1箇所も当らなくても配当を貰える賭け方が書いてある。
20箇所マークして1箇所も当らなければ$500の配当がある。20箇所全部当れば$1,000,000の配当だ。7箇所以上当ればとにかく配当がある。ミニマム$5。よし次からはこれにしよう。
23:30頃夕食にまた浜田に行く。寿司を頼む。$21.5。味は悪くない、量も十分。
このフラミンゴホテルには歯ブラシがない。ドライヤーがない。ミニバーがない。飲みたくなったらカジノのバーへ行けと書いてある。とにかくカジノへ呼ぼうとしている。電話もデポジットを入れないと市内へもかけられない。頼んだ洗濯物が届いていない。電話をすると料金引き換えだと言う。しっかりしていると言うかなんと言うか。
でもあの手この手で客を丸裸にしようとたくらんでいるのだから、その客を信用するわけないよね。多分他のホテルも同じだろう。
11月22日
昨日は1:00過ぎまでキノにいた。何をやっても当らないような気がする。ルーレット駄目、スロット駄目、キノも駄目。稼ぐぞという気合がいまいち入らない。才能も運もない私には一番必要なものなのだが。今日はこれからグランドキャニオン。
帰ってきてから風呂に入り、夕食にホテル内の中華料理屋へ行く。スープ、麺類はあったがラーメンはなかった。いつもラーメンにこだわっているようだが軽くラーメンを食べたいときがある。チャーハンを貰う。$5。ビール、チップ共で$10支払う。
スロットはしょうに合わないし、ルーレットもハーフサイズでひと気がなくあまり乗り気がしない。トランプ類も一人でテーブルに付く気がしない。今またキノに来てこれを書いている。ベガスは凄いところだけれど賭け事の面から見ると私には合っていないような気がする。パチンコ好きならスロットと合うだろうが。でも今晩当れば考えが変わるかも。
またサイレンが鳴り出した。近そうだから行ってみよう。白人のお婆さんがスロットで10,000倍を当てた。$1だと$10,000だ。5セントのマシーンだ。$500。でもやはり10,000倍は凄いことだ。
23:00頃ベッドに入るが、電話が鳴った。ちょっとうとうとしただけなのにもうモーニングコールの6:00かと思ったが1:00だった。仲間の一人がセカンドバッグを盗まれた、どうしよう。というものだった。賭け事に夢中になりセカンドバッグを椅子に置いたまま両替に行ってしまった。その隙に持ち去られたというものだった。バッグの中にはパスポート、航空券、現金など大事なものすべて入っているとのこと。
夜中の1時にどうしようと言われてもどうしようもない。ホテルには届けたとのこと。泥棒が現金だけ抜いてあと人目に付くところに捨ててくれればと願うしかない。とにかくどういう対策を採るにしても、朝になって旅行代理店と相談してからしか動けない。寝れなくても横になって身体を休めておくように言い電話を切る。
まったく。最初からセカンドバッグは駄目だと言っていたのに。ウェストポーチや肩掛けバッグなら少なくとも置き引きは避けられたのに。そりゃホールドアップさせられればどのような形で持っていても取られてしまうが、圧倒的に多いのは置き引きだ。
11月23日
6:30盗まれた者から電話があった。バッグが出てきた、ホテルレセプションから連絡があり貰ってきたと言う。現金はなかったがパスポート、航空券はあった。お金だけとってすぐわかる場所に捨ててくれた泥棒さんに感謝。裏通りのゴミ箱にでも捨てられたら出てこない。4~5日は帰れない。
8:30ラスベガス空港に着く。予定していたトランス航空がオーバーブッキングで乗れずアメリカウェスト航空に回される。時間ぎりぎりに搭乗。この飛行機で2名がアッパークラスになった。私ははずれ。こんなクジ運ではベガスで勝てるわけはない。ルーレット$200、スロット$200位、キノでも$200位、合計$600ほどの負けか。最初はいくら使ったか覚えていたがそのうち分からなくなってしまった。何しろいたるところにスロットが置いてあるのだから。待ち合わせ場所や飛行場にも置いてあるのだからついコインを入れてしまう。
11:00ロスアンジェルス空港着。途中マリナ・デル・レイというヨットハーバーに寄りながらサンタモニカに行く。ここで昼食。日本食のバイキング。寿司(乗っている切り身は薄い)、チャーハン、サラダ、味噌汁他。ビバリーヒルズ、ハリウッド、リトル東京を回ってホテル ウェスティン・ボナベンチャーに16:00到着。

ハリウッド・ルーズベルトホテルで
リトル東京で土産物屋に入る。セカンドバッグ1個、時計3個購入。ボールペンタイプの香水もここにあった。これは化粧品ではなく土産物だったのだ。当レポートの読者へのお土産に日本を立つ前から考えていた。20本買う。値段は秘密だ。
ベガスの空港では日本人観光客の姿が目に付いた。旅行会社が10万円を切ってベガス、ロスの4泊6日を売り出したから日本人観光客は倍増したのではないかと推測する。
今日はサンクスギビングデイとかで休日。当社顧問税理士推薦の泥んこレスリングも休みだそうだ。他のショーも皆休み。夜が暇だ。
夕食はリトル東京へ行く。学生風の日本人が多い。営業している店も結構ある。ラーメン屋に入るが非常に混んでいる。チャーシュー麺$5.45、ギョーザ$3、モツ煮$6。私は冷酒とチャーシュー麺。味はまあまあ。特別おいしくなくてもまあまあの味なら日本人相手にやっていけそうだ。
土産物屋では横浜の岡田屋が成功している。たしかサイパンあたりにもあったはずだ。日本国内よりも海外でのほうが有名だ。
ホテルに戻り34Fのカクテルラウンジへ行く。カクテルを頼むとそのグラスをお土産にくれる。いろいろな形のグラスがある。私には間違って長靴型のグラスが来た。小さい子供のいる人へ渡す。このラウンジとすぐ上のレストランが回転式になっている。1時間に1回転するが周りは高層ビルだらけなので、眺めは最高というわけにはいかない。
11月24日
8:40出発で空港へ向かう。30分もかからずに到着。免税店を覗くがGUESSの時計など街のほうが安い。免税店だから安いと思ったら大間違いだ。しかしプラチナとゴールドのネックレス$1,600が1年間売れなかったから$800にしますという口車に乗ってしまい購入。奥さんか娘か誰かが着けるだろう。でも来月のカード会社からの請求書が怖い。
飛行機は遅れて12:25飛び立つが日付変更線あたりでかなり揺れた。30分以上揺れ続けていただろうか。こんなに揺れるなら小型飛行機で帰ってくればよかった、と冗談を言い合っていた。家には日本時間19:30到着。ああまた行きたい。今度はグランドキャニオンの中をヘリコプターで周ったり、絶壁の底コロラド川で急流くだりをしてみたい。

キノ・マークシートの控え

ベルテルスマン世界地図帳より拝借