
ロシア(モスクワ、サンクト・ペテルブルグ)
2000年5月3日~5月10日
5月はヨーロッパ
すごいタイトルのツアーに参加してしまった。私自身でさえ想像もしなかった音楽紀行とは。余りのミスマッチに家族はあきれてそして大笑いをしたそうだ。
5月はヨーロッパ(特に理由はなし、しいて言えば冬は寒いので行きたくない。)、と思ってから3回目。5月3日出発のツアーをいろいろ探し、全日空のマルタ島ツアーに申し込むが人数が集まらず不催行。同じく全日空のバーデンバーデンを回るドイツ周遊はどうかと聞けば、やはり人が集まらず不催行。近ツーのポルトガルも不催行。何件かピックアップした中で催行するのはこのロシア旅行社の“ロシア音楽紀行8日間”だけだった。
でもロシアはヨーロッパかどうか疑問のあるところです、と水を差したのはロシア旅行社の添乗員の福井さん。ウラジオストックやユジノ・サハリンスクならアジアと思うけど、モスクワやサンクト・ペテルブルグならアジアではなくヨーロッパだよね。
5月3日 モスクワ到着
アエロフロートの飛行機はエアバス310。少しほっとする。が機内サービスは悪く、食事前の飲み物でビールを貰い、食事の時に空き缶を指さしワンモア・プリーズと言ってももうビールはくれなかった。
アエロフロートにはまだ喫煙席が残っている。私は去年の8月にやめたけれど、イギリスで飛行機内の暴力沙汰について調べたら80%が禁煙がらみだったそうだ。少しは残しておいたほうがいいかもしれない。成田からモスクワまで10時間くらい。
ロシアホテル
ロシア ホテルは空港から4~50分。クレムリンのすぐ横。5,000余室の規模だけなら世界で何番目という巨大なホテル。私の部屋はエレベーターからすぐだったのでそんなに歩かないですんで助かった。エレベーターを降りエレベーターホールから廊下に入りちょっと横を見ると鍵番のおばさんがいる。このおばさんに受付で貰ったホテルカードを渡すと部屋の鍵と交換してくれる。この方式とは別にカード式の鍵の部屋もあり、こちらは鍵番のおばさんと関係なく開け閉めできる。改装中なのだ。段々とカード式になっていくのだろう。
ロシア旅行社のガイド冊子によると、バスタブに栓がないからゴルフボールを持っていくと良いと書いてあるから、友人に1つ貰って持って来るが必要なかった。栓はあったし何よりきれいだ。バスルームも部屋も。お湯もいつでも必要なだけ出てくる。部屋の前はクレムリン。西日が差して部屋の中は暑いくらい。
20:00からホテル内のレストランで夕食。前菜はローストビーフにキュウリ、トマトのスライス。メインはバターを鶏肉で包みフライにした物。レモンのような形だが大きさは2回りも大きい。味が薄いので醤油をかけると少し引き締まった。しかし揚げ物の中にバターが入っているとは。アメリカと同じで太った人が多いわけだ。

ホテルの前から見たクレムリンとワシリー寺院
カジノ 1
私の資料には、モスクワではサボイ ホテルとインツーリスト ホテルにカジノがあると書いてある。夕食後早速着替えて出動する。
ホテル出入り口そばのタクシーと書いた受付で、サボイ ホテルまでタクシーをお願いします、と言っても通じない。すぐ横に立っているあんちゃんが「タクシー?」と聞くから、そうだと答えサボイ ホテルまで幾らか聞く。US$5(以下$)。乗せて行って貰うことにする。ロシアのタクシーにはメーターがないから乗る前に値段の交渉をしないとふっかけられます、とやはりガイド冊子に書いてある。白タクではなおさらそう。
5~6分も走ってサボイ ホテルに着くがカジノがない。別のタクシーでインツーリスト ホテルに行く。同程度の距離なので$5かと聞くと$15だと言う。先に交渉するのを忘れてしまった。
レセプションでカジノはどこか聞くとクローズドという返事。これは困った。外に出て周りを見渡すとロシア文字でカジノと書かれたネオンが光っている。モスクワ ホテルのようだ。今度はネオン目指して歩いて行く。何を隠そう私の大学のときの第二外国語はロシア語だったのだ。高校生の頃復活やアンナカレーニナ、子犬を連れた貴婦人などのロシア映画を見て、ロシア女性はなんて綺麗なんだろうと思いロシア語を選択した。
エイゼンシュテインのイワン雷帝や戦艦ポチョムキンも見た。綺麗な女性が年を取るとブクブク太って髭が生えてくるなんて事は後で知った。不勉強だった上年数も立っているので、もうアルファベットも全部は言えない。
名前はカジノ・オアシス。広さは15m×8m位。テーブルゲームはルーレット3、ポーカー5、ブラックジャック2、他1という構成。両替所にドル紙幣を出すと紙に何か書いてくれる。この紙を隣の窓口に出すと見合う分のポーカーチップをくれる。この両替所は丹念にドル紙幣を見てちょっとでも傷があったら受け取らない。ドル建て、フリードリンク、ノーネクタイで可。
空港、ロシア ホテル共にロビーにスロットマシーンを置いてある。賭け好きな国民性らしいが客は少ない。私の他2~3人。一般的な労働者の平均賃金が$150(4,000ルーブル)。ブラックジャックやポーカーのミニマムが$5で1日の賃金に近い。普通の人では来られないだろう。
1時間くらい遊んで$100の負け。途中ジントニックを頼んだらめちゃくちゃ濃い物が来た。ロシア人仕様か。ロシア人は40度のウォッカをキュッと飲むから長生きしないのではないかと思う。
プーチンさんが49歳で大統領になったのは若いなと思うのは誤りで、本当は若くないのだと新聞に出ていた。というのはロシア人男性の平均寿命は58歳であと9年しかないというのだ。
福井さんいわく、「ロシア人男性は本当に大変なんですよ、給料が安いから正規の仕事の後アルバイトをしなければならないでしょ、働き通しなんですよ。」
地図を見るとカジノのあるモスクワ ホテルと宿泊先のロシア ホテルとは赤の広場を挟んで向かい合っている。赤の広場を覗いてみると23:00頃だが結構人が歩いている。私も歩いて行ってみる。寒くはないがロングコートで丁度いい。アベックが多く危険な雰囲気はない。
5月4日 早朝散歩
いつものことだが時差ぼけのせいかよく寝られず6:00から赤の広場へ散歩に行く。6:15頃からクレムリンで働いている人たちが出勤してくる。銃を持った衛兵の横でタイムカードを押すか、木札をひっくり返すかよく見えないが、出勤手続きをして門をくぐって行く。
着いた翌日がいきなりフリータイム。朝食の後ベッドでゴロゴロしながらテレビをつける。山陽道でバスジャックあり、女性1人死亡、犯人は未成年男子とあった。当然ロシア語は理解できないのだが日本語のテロップが流れている。またビバリーヒルズ青春白書をロシア語吹き替えでやっている。

クレムリン出勤風景
カジノ 2
11:20出発でカジノ ロイヤルを目指す。結構古く由緒あるカジノらしいが、地図を見ると郊外の競馬場の隣に印がある。ホテルの1階でタクシー運転手を捕まえ地図を見せ、いくらで行くかたずねる。逆に運転手はいくらならいいのか私に聞く。近くのサボイの10倍以上の距離がありそうだから$30でどうだと言うとOK。
カジノ ロイヤルは競馬場の建物の中にあるとの事。大きな木の扉の前の階段に敷いてある絨毯をめくり洗っている。競馬は開催されていないらしく人の気配はない。大きな扉をそおっと開け入ってみるとカジノの入り口だった。ジャンパー、帽子、カメラを預け2階のカジノに入る。入場料は$20だがその分のチップはくれる。12:00過ぎだが客は誰もいずポーカーのテーブルのラシャなど張り替えている。
まあゆっくり、とバーに行きウェイトレスのオリガにハイネケンを注文する。(胸に付けてある名札のロシア文字が読めたのだ。)オリガに食事をしたいと話しかけるが英語は通じない。旅行社から貰ったロシア語会話集を出し、「おなかがすいた」、「昼食」の項目を指し示す。オリガはレストランのウェイトレスを呼んでくれる。メニューには英語表示があったのでサラダとスパゲッティーを注文。食事の合計は500ルーブル。ビールはただ。ロシア語会話集には「今晩一緒に食事をいかがですか」という項目もあるのでオリガに見せるが、答えはノーであった。ニェトとは言わなかった。
ここの構成はルーレット3、ポーカー4、ブラックジャック3、スロット4。大きさは15m×25m位。真ん中にある入り口を入って右半分がカジノ、左半分はレストラン。正面突き当りがバーでバーに行くまでにスロットが4台ジグザグに置いてある。またどういう訳かカワサキの1500ccのオートバイが目立つところに飾ってある。内装は結構よく壁、柱共に濃いピンクの地に薄いグリーンの浮き彫りで飾ってある。天井には競馬場らしくいろいろなレースの馬と騎手が描かれている。
帰りは地下鉄でと考えているので時間をたっぷりと取って15:00に終わりにする。もっと遊んで行け、と言うのを振り切って帰る。少し前に客が1人来てポーカーをやっている。私はいつものごとくブラックジャック。$100使って$135戻ってくる。
地下鉄
地図を片手に7~8分歩いて地下鉄の駅。メトロのMのマークが出ている。地下に入ってから地下鉄の入り口と地下道との区別が出来なくなり1回たずねる。地下鉄の料金は4ルーブル(16円ほど)と非常に安い。でも平均賃金をみたらこんなものか。
1人目つきの悪い男がこちらに来る。電車が入って来た時に乗車口を1つづらして様子を見る。人は多い。私の取り越し苦労か、男は次の次の駅で降りていった。雰囲気が悪かったのはこの時くらい。
地図で数えた4つ目の駅で降りるが、目的のキタイ・ゴーラド駅ではなく1つ手前の駅であった。車両からは次の駅名が見づらかった。でも2~3分で次の電車が来る。
キタイ・ゴーラド駅で降りロシア ホテル方面を探し歩いて行く。地下道の壁際に小さい店が軒を並べ、化粧品、ストッキング、タバコ、雑貨などを売っている。物は豊富だ。女性もおしゃれでロングコートの下はミニスカート。背が高いのにハイヒールを履いている。カッコいいよね。
昼間だから地下鉄に乗ってみたが、夜だったらやはりタクシーを使っていただろう。
オペラ
17:00から夕食。昨日と同じでまた鳥のカツ。違うのは形状で今日のは薄く平べったい。
18:20出発で19:00開演のオペラ「椿姫」を見る。ボリショイ劇場。席は椅子席で前から8列目17番。中央通路際。良い席だ。椅子は木製で座るところだけ布製。そして1つだけ動かないように何個か連結してある。周りのボックス席は6階まで、つまり天井桟敷は6階だ。
舞台の大きな緞帳の上に2列の電光掲示板がありロシア文字が台詞に合わせ流れている。何かと聞くと若い母娘の娘の方が、オペラはイタリア語で演じられているのでテロップはそのロシア語訳です、と教えてくれる。英語とかフランス語ではやらないんですかと重ねて聞くと、イタリアが発祥の地ですからイタリア語です、と。初めて知った。しかし演技者と10m上のテロップと両方同時に見るのは難しい。
私たちツアーは7名プラス添乗員。私と同年輩の男性、30過ぎくらいの女性。この女性は非常に行動的で単独であちこち動き回っている。時々迷子になってしまいますが、と言いながら。そして母娘のカップルが2組。(便宜上若い母娘、年配の母娘と呼びます。)そして私。

ボリショイ劇場
5月5日 市内観光
予定が変わって今日市内観光。歩いて赤の広場、グム百貨店、クレムリンへ行く。
グム百貨店は赤の広場に面していてクレムリンとは反対側。百貨店といっても専門店街。長さ200m位か。通路が3本ありその両側に店舗が並んでいる。3階建てだが1,2階が店舗。タペストリーの良い物はないか探したが見つからずテーブルクロスを購入。1.8m×2.1m位の大きさでナプキン6枚付きで3,000円程度。
赤の広場を歩いていると色々な物売りが来る。マトリョーシカを手に持って千円、千円と言っている。一番外側がプーチン、次がエリチンそしてゴルバチョフ、フルシチョフ、スターリン。レーニンが最後。1個購入。モスクワでは日本円が両替できないという。ホテルの両替所にも日本円の表示はない。旅行社は米ドルを持ってくるように言っていた。でも物売りが日本円で売っているのだからいずれ日本円も両替できるようになるだろう。

クレムリン内部
アエロフロートの機内販売の宅配の部に、荷物になるからとマトリョーシカとウォッカを頼んでおいた。届いたマトリョーシカは3,000円もしたのに1,000円の物の3分の2の高さしかない。体積的には半分もない。
ブランデーとミックスしたウォッカも頼んでおいたのだが、これはおいしかった。アルコール度数が高いので氷をいれ炭酸で割って飲んだのだがおいしくて飲みすぎてしまった。
昼食、買い物
昼食はタス通信社経営のロシア料理店。メインは水餃子。水餃子といってもつゆの中に入っているのではなく、ひき肉を餃子の皮らしきもので包み壷に入っていてチーズに絡めて食べる。結構おいしかった。
予定にはなかったが土産物屋に連れて行ってもらう。モスクワのガイドのアンドレイさんいわく、「外国人向けの土産物屋ですからカードは使えますが使わない方がいいです。」
琥珀を2個購入。2個で$200。1つは虫入り。蜘蛛の入った物も置いてあったがさすがに止めておく。琥珀は樹液の化石で、樹液を舐めに来た虫を取り込んでいる物もある。この虫が絶滅したりしているとものすごい値段で取引される。「ほら石に較べると軽いでしょ。」と今度は私が教えてあげる。以前NHKテレビでやっていた。
カジノ 3
17:00から夕食。またホテルのレストラン。ここではウェイトレスのおばさんがキャビアを売っている。年配の母娘の娘の方が、昨日買って食べたらおいしかった、と言うので私も買うことにした。2オンス(56.8g)入りを$7で4個。
皆はまた劇場に行く。同じボリショイ劇場でも違う演目らしい。別の劇場に行く人もいる。旅行社に頼むと13,000円だが自分で劇場まで行って窓口で買うと定価で買える。すごく安い。まあまあの席が買えました、ともう1人のおじさんが言う。昨日の椿姫も定価は280ルーブルで日本円にすると1,200~300円だ。日本に来ると8万円もするんですよ、とは若い方の母の弁。若いといっても私と同年輩。
私はモスクワ川クルーズが始まるというので船着場まで歩いて行く。ホテルの西側はクレムリンだが南側はモスクワ川、歩いて5~6分のところに船着場がある。10分前の18:00に出発したばかり。次は23:00発のナイトクルーズまでない。

モスクワ川川岸で
早いけどカジノ・オアシスへ行く。赤の広場は5月9日の戦勝記念日の予行演習のため通行禁止。ぐるっと回っていく。通って行った繁華街にはアイスクリーム屋さんの屋台がずらり並んでいる。
オアシスで大敗。$900の負け。カジノの方で気の毒がって$50の金券を持ってくる。これは何と聞くと、明日$50に換金できると言う。明日はペテルブルグへ行かなければならない、明日の$50より今日の$10の方がありがたい、と言うと$10チップを5枚持ってくる。でもやはりすぐになくなってしまう。
途中気分転換にポーカーをやってみる。テーブルのラシャに○が2つ立てに並んでいる。ディーラーに近い○に参加料の$5チップを置く。カードを5枚ずつ配る。役が出来なくて降りる場合にはカードを伏せて参加料の$5チップを押して共にディーラーに渡す。
何か役が出来て勝負するときには手前の○の中に参加料の倍の$10チップを置いて勝負。ディーラーにも役があって勝負に勝てば$15の配当がある。負ければ$15全て取られてしまう。ディーラーに役がなければ参加料の$5に対してだけ配当があり、$10には配当が付かない。役の種類によって配当率が異なる。2ペアーは2倍、フラッシュだと5倍というように。またカードを交換したいときには交換料を支払って交換してもらう。賭け金を上げたいときには参加料から上げていかなければならない。$5はミニマムでマキシマムは$200。
なにしろ客が少ないからどうもうまくいかない。私1人で何人ものディーラーを相手にしているのだから。(ディーラーはしょっちゅう替わる。)さっさと帰ればいいのだが早い時間だからついつい両替所に行ってしまう。本当にいいカモだっただろう。数時間で6人分の給料を使ったのだから。
5月6日 観光
10:00出発でクチン村のチャイコフスキー博物館へ行く。付属の劇場で第6シンフォニーのさわりの部分を録音で聞く。私は音楽を聴いているとすぐ他の事を考えてしまう。子供の時からそうだ。他の人に話を聞くと、そんな事はなく音楽に没頭できると言う。音痴の原因はここらにありそうだ。
チホン教会とかいう所に行き14:00頃昼食。11%とラベルに書いてあるビールが出たが、アルコールはそんなに強く感じられなかった。魚の揚げ物がメイン。フライではなく天ぷらに近いが衣はそれほど多くはない。
この教会でイコン(宗教画)を売っているが、買わないようにと福井さん。帰りの税関で調べられたら没収されるからと。ここの神父さんは商売人らしく、イコン販売のほか近所の人たちを集め聖歌隊を作って賛美歌を聞かせる。最後に寄付を集めている。50ルーブル出す。
サンクト・ペテルブルグへ
19:15発の飛行機でサンクト・ペテルブルグへ向かう。きちんと時間通りに出発。飛行機はソ連製ツポレフ。ロシア人は大きい人ばかりなのにこの飛行機は天井が低く椅子も狭い。窓際の人がそのまま立つと荷物入れにいやというほど頭をぶつけることになる。また前の人の背もたれに付いているテーブルは0.8mmの鉄板を折り曲げただけの物。心配だったが揺れもせずペテルブルグに到着。音は大きいように思えたが、揺れはボーイングやエアバスよりずっと少ないと思う。
街中に向かう途中思い描いていたのとは違ってすすけた印象があったが、街中に入るにつれそれなりの雰囲気が出てくる。美しいというより落ち着いた雰囲気だ。ピョートル大帝が湿地帯に作った街だから川が多い。川の両側の建物の雰囲気はかなり良い。
21:00頃プリバルチスカヤ ホテル着。ガイドのビクトリアさんの話だとプリはそば、バルチはバルト海でバルト海のそばに立つホテルという意味だそうだ。その名のとおりホテルの裏はバルト海。
部屋の鍵はすべてカード式で鍵番のおばさんはいない。バスタブはどこよりも大きく深い。アメリカやヨーロッパでバスタブにつかると足は伸ばせてもおへそがお湯より上なんて事があるが、ここではそんな事はない。のんびり出来る。
良いホテルだがいかんせん場所が悪い。繁華街からずっと離れていて、地下鉄の駅からも歩いて20分程。またここは島になっていて夜中1:30を過ぎると橋が上がってしまい帰れなくなるという事だ。
このプリバルチスカヤ ホテルには両替所が2箇所あるが共に円表示はない。でも両替してくれるというので1万円出してみる。2,210ルーブルの戻り。
ここのレストランでもキャビアを売っている。大きさは倍の4オンス、価格は同じ$7。
5月7日 エルミタージュ美術館
9:30出発でエルミタージュ美術館。もう来年のカレンダーを売っている。写真と絵の物1冊ずつ購入。去年マン島でカレンダーを買って来たら上の娘に取られてしまったので今回は2冊にする。
絵を主体に2~3時間の見学。色々な人の絵があるがレンブラント、ゴーギャンの絵が多い。レンブラントは弟子と共にかなりのスペースを占領している。

エルミタージュ美術館の廊下
レンブラントの絵は千葉県佐倉市の川村美術館にも何点かあり、広つば帽を被った男はここの目玉になっている。
いくら芸術に縁のない私でもゴーギャンの絵には見覚えがある。ゴーギャンの間(ゴーギャンは専用の部屋を持っており11枚の絵が飾ってある。)のベンチに腰掛けて休んでいると、パンフレット売りが来て1冊$10と言う。もう奥さんの土産用に日本語版を買っているので断る。
パンフレット売りの指の間には沢山のドル札が挟まれている。「あんたは金持ちだね。」と言うと、「いや、儲からない。$10で売っているけど仕入れは$7.5なんだ。40冊売るのがやっとだよ。」という意味のことを言っている。$2.5×40=$100で大金が稼げるじゃないか。売る人、運ぶ人2人1組で$100でもやはり大金だ。
昼食、買い物
昼食は文学カフェ。昔文人がよく集まったのでこういう名前になったという。プーシキンが通い、チャイコフスキーもよく来たという。ビーフストロガノフがおいしかった。スープもおいしくパンでぬぐいきれいに食べる。
ペトロパブロフスク要塞観光。要塞の壁とネバ川との間の狭いところに水着1枚の人が何人か立っている。ただ立っているだけ。日光浴をしているのだそうだ。ここはピョートル大帝がスウェーデン軍から守るため築いた物だが、その後監獄となりレーニンの弟が20歳で処刑されている。独房の扉にそういう記述があるそうだ。では革命後のソ連時代には何に使っていたか聞き忘れたが、やはり監獄として使っていたのだろう。
今ここには印刷機があって版画を製造販売している。福井さんが版画は持ち出し禁止ではないと言うので1枚購入。200ルーブル。土産物屋に寄ったので、安くて面白いものはないかと探していると、高さ3cm位のマトリョーシカがあったので購入。$3。
ビクトリアさんが孔雀石と呼んでいる緑色の石の小さい彫り物も3個購入。計$100。クレジットカードが使えるが5%上乗せされる。いつもなら文句を言ってキャッシュで払うのだが、カジノの負けでドル札が少なくなってきているのでそのまま支払う。
カジノ 4
17:00より夕食。またバターを包んだチキンのフライ。もう飽きてきている。半分も食べられない。
18:00出発でマリインスキー劇場へ。今日の出し物はオペラでフィガロの結婚。モーツアルト作曲で良いですよと言われるが、行く途中のアストリア ホテルで降ろしてもらう。
アストリア ホテルは由緒あるホテル。ここにカジノがある。ルーレット2、ポーカー2、ブラックジャック3という構成。ルーブル建て。$100で2,862ルーブル。交換率はどこよりも良い。ドリンクは有料でジントニックが190ルーブル。
内装はこげ茶のつやのある板貼りが主体でウィーンのカジノのよう。ブラックジャックで$200、ポーカーで$100の負け。こんなに勝てないもの珍しい。トータルで負けても途中1回くらいは勝つものだが。ブラックジャックで勝てない時いつもはルーレットで気分転換をはかるのだが、1人でルーレットをやるのではそれこそカモになってしまいそうなので今回はポーカーにする。でも結果は同じであった。
22:00にはカジノを出る。タクシーは$20。ホテルに着いて22:30。まだ薄明るい。6月にはペテルブルグは白夜になるそうだ。
アエロフロートの機内誌に、インペリアル・イースター・エッグを作ったファベルジェの流れを引くロシアン・アート・ジュエリーという店がここペテルブルグのネフスキー大通りにあると出ていた。カジノで勝ったら何か1つ買っていこうかと思ったが無理なようだ。
インペリアル・イースター・エッグとはロシア最後の皇帝ニコライ2世がイースターの日に后への贈り物として、宝飾家ファベルジェに作らせた卵型の宝飾品の事。全世界に50個ある。ソ連時代にお金に困った政府が少しずつ売り出し全世界に散らばっている。たまにオークションにかかると何億という値が付く。エリザベス女王も2個持っているそうだ。
若い方の母親が愚痴をこぼす。「昨日あなたが来ないから、休憩時間の後ロシア人女性があなたの席に来たんですよ。前半空いていたから目を付けていたんでしょうね。そしてよく見えないから頭をずらせと前に座っている娘に言うんですよ。おかげで娘は後半ずっと頭をずらしたままオペラを見る羽目になったんです。」
5月8日 エカテリーナ宮殿
9:30出発でエカテリーナ宮殿観光。内部は殆ど金ぴか。1室だけがらんとした部屋がある。先の大戦の時ドイツ軍が飾ってある琥珀をみんな持っていってしまったと言う。復旧中だそうで壁に少しの琥珀が飾ってある。いずれ壁全部が琥珀で埋め尽くされます、と。

エカテリーナ宮殿
出口近くに葉書大の水彩画を自分で描いた物だと売っている画学生らしき女性がいる。20ルーブル/枚と言う。なかなか上手なので5枚欲しい(Five sheets please.)と言うが通じない。どうも20ルーブルを15ルーブルに負けろと言われていると思っているようだ。福井さんが通訳してくれる。
10枚程の内から気に入った物5枚を選び購入。袋をあげるから待って、と言いながら薄いビニール袋をくれる。これは非常に珍しい事らしい。ビニール袋が品薄との事。チャイコフスキー劇場でもお茶の時にお菓子をくれるが袋や包装紙はくれない。ティッシュを出しお菓子を包んでポケットに入れてきた。30歳代の女性は、とにかくいつもビニール袋を持っていないと駄目ですよ、と言われたと言う。

水彩画 1

水彩画 2

水彩画 3

水彩画 4

水彩画 5
今日はロシア旅行社のペテルブルグ駐在員の池上さんが一緒。福井さんと同期の入社でロシア人男性と結婚しているそうだ。ロシアでは英語があまり通じませんねと言うと、そうです敵性語ですからという返事。フランス語やドイツ語は結構通じますよとも言う。ナポレオンやヒットラーも攻め込んできたのに。
また池上さんは次のようにも言う。
ロシア人男性は短命だが女性は普通で平均寿命は70歳代。女性も殆ど仕事に着いているのでどうしても子供のめんどうはお婆さんが見ることになる。もう甘やかして甘やかしてどうしようもない。ロシアでは男性の出生率が低いから特に男の子ではそれが顕著です。男がわがままで離婚率が高くなり、なおいっそう子供は女手で育てられる。もう悪循環なんですよね。
昼食、観光
昼食はプーシキン市のレストラン。プーシキンはロシアの文学的英雄。市の名前にもなるし銅像もいたるところにある。小学生の低学年の教科書にプーシキンの詩が出てきて、プーシキンを知らないロシア人はいないそうだ。私はトルストイが一番有名だと思っていた。
トルストイといえば彼もカジノが大好きだったようだ。当時ロシアにはまだカジノがなくドイツのバーデンバーデンに長逗留していて、負けてお金がなくなると親類や友人のドストエフスキーに無心したそうだ。お金の問題でドストエフスキーとは喧嘩別れしているはずだ。
レストランではピッチに入ったワインとウォッカが1本ずつ出る。ワインは全部飲んでしまったがウォッカは男2人が小さいグラスに1杯ずつ飲んだだけ。殆ど余ったので貰って来る。
午後フリータイムなので皆で船に乗ろうということになった。ペテルブルグ運河クルーズだ。$20/人。50人は乗れそうな船。私たちの他はロシア人家族1組と写真好きなロシア人男性1人。
ロシア人家族の男の子は5~6歳のようだがすごくかわいい。父親は当然ながらそっくりな顔をしているが熊のよう。小さい時かわいくても大きくなるとあのようになるのね、とは若い方の母の弁。
カジノ 5
船着場のちょっと手前にカジノがあったので、17:00までには戻るからと福井さんに告げてから行ってみる。
タレオン・クラブ。パンフレットを見るとカジノ、レストラン、バーを経営しているとある。(これはどこでも同じ。)そして次にシガーラウンジがあり世界中の葉巻とコニャックを置いてあると宣伝している。カジノの構成は他と変わらずルーレット2、ポーカー2、ブラックジャック2。ドル建て。15:00過ぎだが他に客はいない。よそとの差別化は部屋全体を暗くして、テーブルにスポットライトを当てている事。16:45まで遊んで$100の負け。
ドアボーイにタクシーを頼むと50m先のネフスキー大通りまで駆けていってボロボロのタクシーを連れて来る。ホテルまで幾らか聞くと、「メートル、メートル。」といってメーターを指差す。ボルガというソ連製でスピードに合わせてダッダッダッと振動する。到着するとメーターを指差し85ルーブルと言う。これは安いし納得できる。うれしくなって100ルーブル渡す。お釣りは当然チップ。メーター付きのタクシーは珍しいらしい。

ネフスキー大通り
キャビア
部屋で大急ぎで着替えて夕食のレストランへ。少し遅れてしまう。
ここのウェイターが売りに来たキャビアは4オンスと大きくて$7だったので欲しいと言うと、今日は$10だと言う。この前は$7だったじゃないかと文句を言うと$8になった。それ以上は下げない。3個購入。
誰かが池上さんにキャビアはどう食べたらいいんですかと聞く。熱いご飯にキャビアを乗せ海苔で包んで食べるとおいしいです。あと友人がキャビア丼にしたらおいしかったと言っていました。と言うと福井さんは何と贅沢な、と合いの手を入れている。
帰りの空港の免税店でキャビアを見ると2オンスで$65だった。メチャクチャな値段だ。帰ってから食べてみると、4オンス$8の物は粒が小さく塩気も少なく味はいまいちであった。2オンス$7の方がおいしかった。買いはしなかったが$65の物は当然もっとおいしいのだろう。グレーがかった方が高級とかランク付けが色々あるらしいから。
カジノ 6
マリインスキー劇場は満員。今日の出し物はバレーでペトルーシカ他2演目。ペトルーシカは良く見るバレーの衣装ではなく劇のような衣装で演じている。つま先だって歩くシーンも少し。ペトルーシカが終わって帰ろうとするとビクトリアさんはもちろん、コートを預けたクロークのおばさんにまで残念がられてしまう。
池上さんがパレス ホテルのそばに大きなカジノがあると教えてくれたのでそこへ行ってみるのだ。タクシーにパレス ホテルまで幾らか聞くと$15。ディスカウント プリーズと言うと$12になる。プレミア・カジノはパレス ホテルから100m程離れているが、ネフスキー大通りに面しているのですぐにわかる。ルーブル建て。ルーレット3、ポーカー2、ブラックジャック2と大きくはない。他と同規模。
$100両替して$300位までには増えるがそれ以上にはいかない。結局$150の負け。客は私の他2名。共にポーカーをやっている。明日は戦勝記念日。祝日前夜がこれでは成り立って行かないんじゃないかと思う。ビクトリアさんが、映画が昔ほどの人気がなく映画館がカジノやレストランに衣替えしていると言うが、カジノも早晩淘汰されるのではないか。フリードリンクにしてもディーラーに若い娘を雇っても、たまには勝たせないと客は来なくなってしまう。私にもロシアは鬼門になってしまった。
5月9日 最終日
8:30荷物を出し、9:00出発で市内観光。アレクサンドル・ネフスキー大修道院の隣の墓地観光。ビデオ、カメラは有料。ドストエフスキー、チャイコフスキーの墓がある。大修道院は修復工事中のため入場できない。大通りから大修道院入口までの道にかなりの乞食がいる。比較的若く迷彩色の軍服を着て足のない人に多くの人が小銭を入れている。以前はアフガニスタン、今はチェチェンで戦争があるので人ごとではないのだろう。
ネフスキー大通りの食料品屋で残ったルーブルを使い果たし帰国準備。ここでの支払いは当然ロシア式で、買うものを決めたらレジへ行ってお金を払い、売り場に戻って領収書と引き換えに品物を貰う。
ロシア旅行社がくれた注意書きを見ると、ルーブルは持ち出し禁止(誰も持って行かないと思うけど)。外貨は持って来た以上は持ち出し禁止(これは入国、出国の時に申告書を書かされる)。キャビアは2個まで、それ以上は持ち出し禁止。骨董品、絵画は持ち出し禁止。と色々制約はあるが税関では何の検査もしなかった。ソ連時代には空港で写真を撮るとスパイ容疑で逮捕、なんて事もあったようだが、今は入っていける所全て撮影可となっている。
ツアー料金は245,000円、1人部屋追加料金は54,000円でした。
第20報終わり


今回の予定表